明日の日曜日(12月17日)が最終となった、このたびの「織と陶」展。
福島万希子さんの「陶」は、長く作品を眺め、何度も手に取るうちにジワジワと魅力が伝わって来る印象があります。
大作は彫刻や建築をも思わせる男性的な印象。
でもちょっと目を脇に移して生活の器を手に取ってみると、花の一輪を添えたりする女性的な愉しみが似合う繊細さに気付くのです。
私にはこの白い温かさ、が謎でした。
陶器特有の土色からは随分と洗練されていて、でも磁器質の冷たさからは全くの別物で。
でもプロフィールにインド・ネパール・タイ・インドネシアに遊学、という一文を見つけて、段々と私にもなにか見えてきた感触が。
これは《アジア的温もり》ではないのだろうか、と思い至ったのです。
土も人も村も建物もどこか曖昧で、多くを呑み込み、赦す風土。
それで・・・ちょっと飛躍しすぎかもしれませんが、かつてヨーロッパからの帰りに立ち寄ったインド・ムンバイの国際空港の私の思い出を語らせてください。
その空港は、美しい柱が白い天井に境目なしにつながり、巨大なルーフを美しく支えていました。孔雀の飛翔がそのモチーフとのこと。
イタリアを旅した直後の私には、ふと、この白い孔雀は不思議な安らぎでした。
西欧的ルネサンス建築はやはりどこか、東洋人の私には冷徹で超人的過ぎるのです。
この空港で抱いた感慨=ここはアジアだなぁ、という感触はひとつの安らぎでした。徐々に日本に近づいているという、地勢を可視化できる安心感。
と、、、、、そのような旅の記憶がほっこり甦る、福島 万希子さんの「陶」と私の対話でした。