今年二月にミラノを訪ねた際に、真っ先に訪ねるべきとイタリア在住のアーティストに教えられたのは、
ポルタロマーナ地区にある『プラダ財団』でした。
今は使われなくなった駅の裏、かつてはすさんだエリアだった旧砂糖倉庫や縫製工場だった建物群を、世界的有名ブランドPradaがミラノでも一番のアートの拠点する大プロジェクトを進めているのです。
驚きだったのは、巨大な倉庫を壮大なアート展示空間に生まれ変わらせる工事そのものをも、現在進行形の「インスタレーション展示§公開」しているという発想そのものでした。
プラダという最先端の美意識をもつ集団がアート空間を創り上げるわけですからオモシロクナイはずはありません。
世界中から、アーティストのみならず一般の観光客まで、おそらくここは数年内にミラノでも最もホットな《観光の中心》になりつつあります。
閑話休題。
ところで、アートを見てアートを感じることでいったいその人にどんなメリットがあるのだろう。。。。レトロフトはギャラリーを運営しながらもそうした根源的な問いを抱えながら運営しています。
アートは客寄せ?話題づくり?若いアーティストの発掘?名山町の地域活性のため?
↓ ちょっとこの写真はどうでしょう。(撮影:吉原勝己氏)
現在、解体のすすむ九州大学旧キャンパスの風景です。
こんな風景が目の前に現れてようやく、人はその酷(むご)さと失われるものへの哀惜を実感するかもしれません。
でも、アートで日々感性を磨いている人々なら。。。
こんな画像を見ずとも、予兆ありさえるればその後起こりうるすべての情景が心に浮かびます。
誰より早く悲しみを感じ、さらに未来永劫失われるものの価値もすべてが一直線にパースペクトビューできるようになります。
レトロフトから発信されるのアート、不思議な音楽ライブ、そしてオーガニックなフードの数々すべては、人の心の感度を『本来の状態に引き戻すための仕掛け』です。
さらには、
『未来を引き継ぐ人々』の感性に期待を込めての仕掛けにほかなりません。
レトロフトのご近所にある由緒ある銀行の本館がまもなく建て替えのために解体され、廃材は産業廃棄物となりすべて処分されることが決まりました。
(※先週末に私たちレトロフトからの請願は棄却され完全解体は確定しました)
即効性があり目に見える「経済」ではなく、「本当の経済」が見えるのは、
アート的感性を積んだ人々以外にはないとレトロフトは確信します。
単に役割りを終えたハコモノを退場させると判断するか、
それとも未来への強力な経済資産をみすみす捨てると感じるか。
世界企業「プラダ」だったら、こんな時ときどう対処する(←click!)でしょう?
日本の近代化の歴史をダイナミックに乗り越えてきた中央の都市銀行だったら、こんなときどのように考えるのでしょう?
↓ 私たちがプラダ財団を訪ねた際にはロビーでアンドロイドがお出迎えしてくれました。
心の通わない人間への皮肉(笑?