音楽や音響の分野でよく耳にする言葉・・・ソナタ、ソナチネ、ソニックなどのほかにソネット(sonetto・14行詩)という詩も、どれもが〈音〉が語源の同じ仲間。
ソネットは小さな歌、というほどの意味だそうです。
ヨーロッパの街の風景やモノ(物質)を素材に、現実を超えたファンタジーを作りあげる北川健次の世界。
その解釈や鑑賞の楽しみは人それぞれに委ねられていますので、作者から「これは・・・です」という講釈はないわけですが、今回の展覧会にはあるギフト(贈り物)が用意されています。
photo :by retroftmuseo Venezia 2016
それは、、、購入者と作品との間に想起される物語を、北川健次氏が感じるままに「6行詩」として献呈くださるのです。
このたびの展覧会名〈狂った方位−エステ荘の南の庭で〉というフレーズも、じつは、
私がイタリア庭園の庭師であったこと、さらにはその庭を私たち夫婦が過日訪ね、その記憶を北川健次氏に語ったことからの贈り物として今回の展覧会に冠された、それはひとつの「詩の断片」だったのです。
それを知った時、私は感謝の言葉もないほどでした。
どうぞ皆様も、この会場で目にしたコラージュ作品、立体作品にどこか心に残るものがありましたら、何か離れがたいものを発見なさったら・・・是非その思いを作者へとお語りください。
その人だけの美しい物語りはもう、その瞬間からきっと紡がれはじめているはずです。
作品をご自身のものとされたいと願ったその理由(わけ)をきっと北川氏はきちんと読み解いて、6行の詩として皆様に贈ってくださいます。
2016年12月11日(日)までの開催です。
photo :by retroftmuseo Venezia 2016