(再び、ワタクシゴト的導入です)
「本」の著者に自分の時間を捧げるつもりで旅をする……..今年二月に妻と訪れたベネチアは、思えば北川健次氏の著書に導かれるままに絵から絵へ、風景から風景へと旅する異次元の旅でした。
心も無に芸術的感興の中を彷徨(さまよ)えたのは、ひとえに北川氏から手渡された一冊の旅のシナリオがあったから。
Raguna, Venezia- Photo by Retroft
その一冊の本とは、北川健次著『美の侵犯ー蕪村×西洋美術』。
〈時代〉や〈国境〉を超えて、芸術家たちの魂の重なりあう領域をご紹介する本です。
与謝蕪村の俳句にその世界観に共通する西洋美術を引き合わせるという、驚きの美術評論です。
今年2月の朝、
あたたかな光に包まれて私はベネチア島の新・波止場からトルチェッロ島へと向っていました。上の画像は、洋上ですれ違うゴンドラを私のカメラが追った一瞬でした。
ふいに目の前に流れた一瞬の色彩に・・・・深い既視感を覚えました。数日前にミラノの美術館で見たフランチェスコ・グアルディの美しい絵画の残像がよぎったのです。それは、北川健次氏が著書の中で私に教えてくれた一枚の絵「灰色のラグーナ」でした。
Museo Poldi Pezzoli所蔵『灰色のラグーナ」Francesco Guardi – Photo by Retroft
この本を携えて旅に出られた幸せを私はしみじみと思いました。本に触発されて目にする世界が数倍にも光り輝きだすことを実感しました。
フランチェスコ・グアルディの『灰色のラグーナ』の世界観に呼応する蕪村の俳句、北川氏が選び添えられた句をここでご紹介いたします。
昼 舟 に 狂 女 の せ た り 春 の 水 蕪村
ふたつの芸術世界を自在に行き来できる稀有な芸術家の展覧会が、来月、12月6日からレトロフトMuseoで開催されます。
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