10月20日の夜に開催された、朗読と音「神神の微笑」。
(→会場にお越しになれなかった皆様はコチラ・青空文庫で閲覧できます)
芥川世界という異空間への導入は
聖歌のオルガン伴奏のイメージさせるハモンドが3分ほど大きな音量で(これはザビエル教会オルガニストの上薗美意子さんの演奏で)。
そして朗読が始まります。
橋本泰久氏の深い静かな、朗読。
言葉と言葉の沈黙の、その間合いと間合いに
私たちも芥川小説の世界へと没入していきます。
時に小さくオルガンの音が入る瞬間があって、
そうかと思うとけたたましく叫ぶような不協和音もあり。
日本古代の神々の踊りを思わせるシーン、
碩学がわが国の歴史を語るシーン、
そんな場面では「笙」の音色に似た音色をもオルガンは奏で。
最後のシーンでは、宣教師オルガンティノに語りかけていた古老が、
屏風絵の中に消えて行くという超常的な形でこの短編を終えます。
サンタマリアの鐘を象徴するオルガンの音色と共に。
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朗読と音の公演はあたたかな拍手に包まれて終了しました。
幻想的に過ぎて一部に理解を超えた表記もあるこの短編。
会の後半は、鹿児島大学の多田蔵人准教授の解説も準備されていました。
ストーリーからだけでは「謎」でしかなかったあれこれを
多田准教授の分析は、
幻想的な余韻を残したまま深い理解の後押しをしてくださいました。
その後、会場では演奏者も朗読の人も観客も共に文学への思いを交流させる時間もあり、何かすごくいい雰囲気。
文芸の余韻のままに佳き香りのする夜。。。