↑ 出島でのナガサキリンネ
もとはといえば妻がwebで見付けた中川たくまさんのお名前と、
美しい言葉と感性で綴られたブルームーンのページ。
そこでの透明な感性に導かれるように訪ねた長崎で、
私たちは、丹誠込めて「活版印刷」を見学者に説いている中川さんの姿を目にしました。
工芸職人の集まりによる魅力的な展覧会=ナガサキリンネでのことです。
出島の会場では中川さん主催の活版印刷についてのトークセミナーもあるというので
私たちも聴衆のひとりとして参加して、
そこで不思議な光景を目にしました。
小値賀(おぢか)という、本土からフェリーで3時間ほどの島で今も
活版印刷を営む女性の活動の紹介のあとに、中川さんに質問に立った若い女性。
「おじいちゃんの・・・」
という言葉を言ったあと、急に涙ぐんで言葉を失ってしまったのです。
『活版文化』という過ぎし文化の残影に、
印刷にかかわりのあった血族の面影が重なったのでしょう。
フォントという名称で
今ではパソコン画面で無機的にチョイスされる「文字」。
でもそこにはかつてはきちんと、
文化と、暮らしと、生業とが篭められていた、、、そんなことを
私はその若い女性の涙から、私は思い起こしたのでした。
スミマセン、個人的な出会いの記憶を書いてしまいました。
中川たくまさんの活動は活版に限ったことではありません。
その広範な活動の種々はご本人から直接、本日レトロフトで。
ただ、トーク&セミナーはすでに満席となっていて、この会にご参加できない方々のために
私の記憶を、小さくご紹介させていただきました。
社会に、ひとにやさしく寄り添ってくれるデザイン、
そして、
現在の”冷めたデザイン”の向こう側を・・・ほのかに説いてくれるかただと、
私は感じています。
↓ ナガサキリンネのメイン会場・長崎県美術館
