桜の花の散る春卯月に、
私たちレトロフトは、
そして鹿児島県のすべてのアートを愛する人々は、ある大切な人を喪いました。
丹下甲一前鹿児島県副知事。
高級官僚、そして副知事という人生の王道を歩んできたそのお姿とは別に、
丹下氏はひっそりと、
レトロフトでの展覧会を、その肩書きを名乗るでもなく黙って、
ご公務の合間に訪ねてきてくださるかたでした。
レトロフトと丹下氏が知り合えるきっかけを作っていただいたのが、
3年前の
「平川 渚展~カセツ世界」
でした。
芳名帳にひっそりと、肩書きを記すでもなく残されたお名前が、
最初の出逢いでした。
才能あるアーティストをバックアップする、その副知事の真摯な姿に、
その後、
私たちレトロフトはどれだけ励まされ力を得たか、計り知れません。
東京・築地の本願寺で営まれた丹下前副知事のご葬儀。
名残りの桜吹雪のなかに棺を乗せた車が去って行く風景に、
私たちは心からの感謝と、
未来へのバトンを受け継ぐことを、誓いました。
その告別式が、
丹下氏が高く評価していた平川渚さん展覧会初日となったこの縁。
「あたらしい物語を編む」
のインスタレーションは
偉大なる行政の人、そして文芸の守護の人へのオマージュとなったこと、
皆さまにもお伝え致します。
今晩、平川渚さんのインスタレーションでは
クロージングのダンスパフォーマンスが開催されます(夜9:15~の予定)。
是非、美しい物語世界のフィナーレを、
丹下氏への思いと共に、ご鑑賞ください。
