レトロフトにアトリエを持つデザイナーの青年が
ある日 ”なにかの気配” を感じて上空を見上げてみれば、
レトロフトビルの屋上のへりに一羽のハトがとまっていて、
「クルリ」
とおしりの向きをこちら変えたかと思うと、
真下に向けてプチッ、ポトリ。
さらに、
それが終わったあと、
「オシリを振り振り」
して飛んでった、と私に口惜しげに訴えます。
オーヤの私は、
その人の口惜しさ丸出しのその際の描写、義憤(ぎフン)に心動かされ、
即座にこのような「鳩撃退ワイヤー」の設計詳細図をこしらえたのです。
実は私は造園家なので、
鳩が透明なワイヤーを恐れる習性を、これまでの庭造りから知っていたからです。
で、レトロフト住民相互の長屋パワーがこの際にも縦横に発揮されました。
パリで視聴覚音楽を学んだという異能の人がこのビルにはいて、
プロ顔負けの大工技術の腕(と充実した道具の数々)をお持ちです。
早朝8時、
朝日の眩しい屋上にあがってみれば、
インパクトドライバー、水平器、軍手、巻き尺、、、
獲物を狙う猟師のような目付きでその人はボソボソ段取りをはじめて、
ものの一時間ほどで、
鳩撃退ワイヤーを完璧に造り上げてくださいました。
まことこれがレトロフトの底力。
感謝、感謝。
