戒律、あるいは御法度。
21世紀のこの時代に、
藩政時代以来の「戒め」が、巨大な壁のように立ちはだかる、、、
薩摩琵琶は修養の道具であれ。
故に芸術であってはならない、音楽でもない、
それが薩摩琵琶界の思想&哲学です。
この言葉に、正面から対峙しなければならなかったお二人。
それが薩摩琵琶演奏家の上川路直光氏であり、
また、現代音楽作曲家の原田敬子氏、でした。
安易な形での人前(酒席や有料での公演)での公演が極度に制限されている薩摩琵琶。
上川路氏が出演をようよう受諾頂けたことの重み。
歴史に照らし合わせてみなさまもどうかご理解ください。
そして、伝承の杜に護られた薩摩琵琶は、
維新以来150年に渡って「新曲」が、ただの一曲も作られてはいません。
先人達の遺した数少ない名曲を、繰返し、繰返し弾奏し次代に継承していく、、
そうした風習が確立した薩摩琵琶に、
このたびの音楽的アートパフォーマンスでは、
現代作曲家が新たに、この会で初演となる楽曲をも奉じる、
このことの重圧と刻苦の成果が、
公演の最終版に、
歴史の民・鹿児島県民の眼前で、
《ひとりの芸術家からのAnswer=解答として》
提示されます。
薩摩の伝統と歴史を未来に引き継がせること、
それは
衆人から歓呼や褒章を受けながらの作業では、決してないことを、
私はこの眼で見て、
初めて、知ったのです。
