ありがとう!クロワズモン vol.0-vol.15

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先週の土曜日、6月17日の回をもちまして、レトロフトリゼット広場を舞台に開催されていた連続音楽ライブcroisementsが終了いたしました。

留学先のパリ時代からの音楽的人脈=財産を惜しげもなくこのKagoshimaに降り注いでくださった主催者・松本充明さん。
鹿児島市民の1人として、また会場主としてもう言葉にできないほどの感謝の気持ちです。

思えば、文化日旱(bunkahideri)が叫ばれていた鹿児島、そしてすたれた商店街でもあった数年前の名山町。
そこを、ベルリンのハッケシャーマルクト張りに文化の発信基地に転換させたいという野望を持ってしまったレトロフト(!)にとって、これ以上はないProtagonista(大看板・主役)がクロワズモンでした。

Kagoshimaは・・・諸外国の英智を見事にとりこめる文化土壌があった(もはや過去形)のが、ここへきてもう随分と固化してきちゃったのかなぁと、昨今のこの地のアートシーンを見ながら歯がゆく思う日々ではあります。

クロワズモンは今月で終了ですが、ひとつだけレトロフト目線のご報告を致します。
昨今の名山町をご覧ください。新しい店、目新しいショップ、通りを行き交うアーティストたち。

この興隆がどうやってもたらされたか?

私はその大きな布石のひとつとしてこのcroisementsがあったと確信しているのです。(従来型の「街おこし」「地域活性化」の人々がこうした作戦に気がつかないことにある種、不思議な感慨をいだいています。)
街を国を栄えさせるのは経済、と人は思いがちですが、「感性」を磨き鍛えることがどれだけ重要で大切でことであるか、そしてその入口が実はこのcrosementsにあったのだと今、多くの人々に私は白状したいです。

この街がこれからも栄えるとするなら、《クロワズモンは形を変えながら生きている》と、このコラムをお読みになったかたはどうかこゝろの隅に刻んでおいてくださいーー人と人、アートとアートの「交差点」がここで築かれたことを。

・・・・・・・(以下、主催者からのコメントを転載させていただきます)

2014年7月からレトロフトさんのレゼット広場ではじめましたcroisements kagoshimaですが、vol.15にて終了させて頂くことにいたしました。
企画開始から一貫して国内外の第一線で活躍する演奏家やパフォーマーの皆さんをゲストにvol.0(月の舟さんで開催)も合わせると16回ほど開催させて頂きました!
首都圏や県外主要都市よりも聴いてくださる方が圧倒的に多く、ゲストにもお客さんに恵まれる良い会だと喜んでくださっておりました。海外の方で数回いらっしゃってくださった演奏家もおりました。

さて、何故そのシリーズをここで終了にするのかですが、以下の流れがあります。

当初は40人近い方が来て下さっていたこのシリーズも、最近はお客さんの数が半分くらいまでになり、昨年くらいからは私のなかでも課題が、「良い演奏会を企画する」から「お客さんを集める」ということになってしまい、心ならずも、個別で来て下さるようにお願いしたり、レトロフト•オーナーの永井さんに声をかけて頂くようお願いするばかりで、なかなかうまく行きませんでした。

もっと分かりやすい音楽の演奏会にしたら良いのではという忠言や、地元の演奏家に入ってもらう企画にすれば良いのではないか、というアイデアも頂きました。
しかし、そもそもcroisements趣旨として「このイベントの主体は音楽・サウンドのライブです。と言っても演奏されるものは、クラシックでも、ジャズでも、ロック、ポップスでもありません。あまりなじみのないジャンルの演奏が行われます。”分かりにくい”と言われるものかもしれません。何故、わかりにくいのか、とっつきにくいのか、いくつかの理由があるでしょうし、所謂、ここちよいもの、ということに重きをおいていないからかもしれません。

しかし、”分かりにくい”音楽を”分かり易い“音楽に改訂し演奏したとして、演奏者は満足の行くものを提示できるのでしょうか、あるいは、その演奏に説得力、ある一定の力はあるのでしょうか?個人的な経験から来ることなのですが、そのんなことは全くなく、演奏者が力を入れれれば入れる程、何かが伝わると認識しています。『一体、なんだろうこれは?』という未知の体験と日常の体験の交差するところ、そこにこのイベント・シリーズの目指すものはあります」ということを念頭に始めたシリーズです。

この趣旨は、私が大隅半島にいた際になるべく分かりやすい演奏を心がけた結果、中途半端なものしかできなかったという反省から初心に立ち返るつもりで考えたものでした
嘘はつかない、本物だけを聴いて頂くという方向性は今でも間違ってはいないと愚考しております。

ただ、それがイベントとして成功することを保証するものではありません。自己満足の一つの形として続けた企画だったのかも知れませんね(勿論、企画を気に入ってくださり、多くの会に来て下さった方もいらっしゃいました)。
もちろん、お客さんが少数でも企画を続けるという可能性も考えられますが、その場合はゲストの皆さんに十分な謝礼はもちろん継続する為の経費も捻出できないということになってしまいます。

これは蛇足ですが、以前croisementsとは別の関連企画を開催した際に来て下さったお客さんが一言ってくださったことがあります。「貴方が鹿児島出身だったら良かったのになあ、残念だよ」と。この言葉は鹿児島での自分の活動を考え直すきっかけとなりました。
現在は新しくスペースができたり独自の活動を広げている方がいらっしゃたりで(私が知らなかっただけかもですが)croisementsを始めた3年前より状況が変わったと実感しております。
そこで、そろそろよそ者がよそ者を呼んで開催するこの企画も完結する時期と認識しました。

croisementsシリーズは終了し、松本は以後なにやるの?ということになりそうですが、基本県外•国外を中心にオーガナイザーではなく、演奏者活動する事になると思います。どうしても鹿児島来たい!という国外の方がいらっしゃる際は何かをするかもしれません、その際は覗きに来てくださったら幸いです。

では取りあえず、「始まりがあるものには終わりがある」ということで。
ご来場の皆様、ゲスト•アーティストの皆様、関係者、協力者の皆様、そして、このようなおかしなシリーズの開催に毎度ご協力•協賛してくださったレトロフト•オーナー永井さんご夫妻に心より感謝を!!!
有り難うございました。

2017年6月 croisements kagoshima主催 松本充明拝

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