大友 良英 →山内 桂(サックス)☆音楽評

 
上の写真は、昨年8月に私たちの訪ねた、
十和田現代美術館のユニークな屋外作品展示のブースです。
この美術館は「都市に連続したミュージアム」を謳っていて、
建築や展示は街並みや街の商店街に自然とつながり、
その企画も市民を巻き込むかたち。
私たちの参加のきっかけとなった案内の一文は、
「とにかく何でもいいから楽器をひとつもって誰でも参加してくださいね」
そう呼びかける《音楽部》参加案内でした。
(私たちは小さなたまご型のマラカスを持ってはるばる東北までかけたのです)
その美術館の広いホールで
十和田市の市民と定期的に音楽部の練習指揮をしていたのが、
「あまちゃん」の音楽であまりにも有名な大友 良英さんでした。↓↓

その大友さんが、
今週土曜日・クロワズモンvol.5に出演の山内 桂氏を評した文章が見つかりました。
以下、ちょっと長くなりますが
大友良英氏の文章を抜粋転載いたします。
文章を読むと、この山内 桂さんがいったいどういうスケールの人なのか、、、
ものすごく伝わってきます。→croisementsvol.5のご案内はコチラから
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《孤立無援に独自の進化を》

四半世紀近い音楽活動のなかでこれまでわたしは、
東京や大阪といった巨大な音楽シーンがあるところとは別の《地方》の都市で
驚愕すべき3人の即興演奏 家に出会ってきている。
いずれも 年齢は40代。
皆ほぼ孤立無援に独自の進化をとげてきたにもかかわらず、
正統派といえるような演奏能力と独自の音楽性を 持った人たちだ。

一人は札幌のピアニスト寶示戸亮二。
内部奏法を駆使した演奏と美しい響きを持った独特の音楽は、
既にCDで知っている人も多いだろう。

もう一人は I.S.O.をともに結成し今や欧米でもその名を知られる山口の奇才、
パーカッションの一楽儀光。
彼のような方法で音響と即興演奏の接点を探った音楽家は
彼以前には世界中を見渡してもいなかった。

そして残る一人が、
今回紹介する大分のサックス奏者山内桂だ。
彼の場合は他の2人と異なりCDの リリースもなければ九州以外での演奏経験もほとんどない。
それでもこの世界では知る人ぞ知る的な存在で、
大分に行ったミュージシャンから彼の噂は何度も聞いていたし、
なにより数年前にI.S.O.の大分公演の際に彼が参加したセットの素晴らしさと
その音色の美しさが
わたしの頭の中にずっとひっかかって いて、
いつか東京でも紹介したいと思っていた。・・・・・(以下、略)
2003年 大友良英
山内 桂を紹介するもうひとつの文章で大友さんは、
↓「まるで渓流釣りでもしてそうな外見にだまされてはいけない・・・」とも書いておいでです。

《Introduce 》
大分の山内さんからCDが送られてきた。
いわゆる音楽のシーンとはまったく無縁な場所でサラリーマンをやりながら20年以上にわたって、
誰にも似ていない独特の音楽を淡々と作ってきた48歳のサックス奏者山内さんが、
突然仕事をやめたのが去年秋。
すでに知る人ぞ知る的な音楽家であったとはいえ、
なにぶん音楽の世界どころか都会そのものにも免疫のない人だ。
正直心配した。

ところがこちらの心配をよそに、
彼は東京で何本かライヴをやった後、なんのあてもないのに唐突に渡欧。
なんと、ベルギーでは私のステージに飛び入りし、満場の聴衆から大喝采を浴びているではないか。
この時、私はこの人がただの素朴でピュアな中年芸術家なんかじゃないのを確信した。
2003年 大友良英


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